デンソースパークプラグの軌跡

HISTORY
1959 – 1974

技術開発 – 課題

1955年、ロバートボッシュ社との技術援助契約を締結。
1957年、スパークプラグ室を組織し、ボッシュのプラグ技術の導入を開始。
1958年より技術者の相互派遣等を行い製造技術の早期習得を目指した。
改善活動と創意工夫を行い、その1年後の1959年、量産性に優れたP2プラグを発売開始。ゼロベースから始めたにしてはかなりの開発スピードであった。
そして1960年にはトヨタ自動車工業(当時)より当プラグの受注を獲得。
クラウン等に搭載されるR型エンジン用としてP2プラグの採用が決定した。

P2プラグ

「P2」プラグ発表披露宴

「P2」プラグ発表披露宴

P3プラグ

「P3プラグ」パンフレット

「電装技報」1962年9月号

ワイドプラグ

「ポケットチャート」（1972年）

Gプラグ

「デンソープラグG」ポケットマニュアル（1972年）

レジスタプラグ

HISTORY
1975 – 1979

社会背景

1970年代に始まる排出ガス規制によって、スパークプラグは飛躍的に高性能化・高品質化が図られることになった。
排出ガスをクリーンにするには、混合気を薄くせざるを得ず、薄い混合気を燃焼させる着火性の良いプラグが求められていた。

技術開発 – 課題

プラグの着火性を高めるには、エンジン、点火電源などいろいろな面からの対処法がある。 プラグから見れば、放電によって生じる火炎核のエネルギーが中心電極や接地電極に吸収されないようにして 火炎核を成長させるという「消炎作用の減少」が必要であり、その問題の解決には、すでにワイドギャップ化あるいは中心電極を細径化する方法などが知られていた。
しかし、これらは飛火電圧が上昇したり、プラグの寿命が短くなるなど、背反する要因を持ちあわあせていることも分かっていた。そのため解決策を見出すには 困難を極めることとなったが、開発陣は、消炎作用と電極形状について徹底的な検討を加え、一つの結論を導き出した。

技術開発 – 解決

それは、接地電極側にU字の溝をつけることでワイドギャップと同じ効果を実現することであった。 着火性、耐熱性、それに生産性などを総合して検討し、その結論をかたちにすることによって、世界で初めてのU溝プラグが誕生した。
その後、同様の効果を狙い、中心電極側に十字溝やV溝を付けたプラグを他社が発売していることからも、その先進性がうかがわれる。 U字溝を採用したデンソープラグワイドUは、米国をはじめとする英国、フランス、ドイツ、イタリアの五か国で特許を取得し、名実ともに世界的な特許のプラグとなったのである。

GUプラグ

ロータリー用3極プラグ

ワイドUプラグ

「ワイドＵプラグ」レコードジャケット

「ワイドＵプラグ」テレビCM

2極プラグ

半沿面プラグ

ロータリー用4極プラグ

HISTORY
1980 – 1995

社会背景

1980年代に入ると、燃料消費率の改善、厳しい排出ガス規制への適合という面から、それまで以上に薄い混合気での燃焼が求められ、 プラグにも従来にない着火性能の向上、飛火電圧上昇の抑制といった難易度の高い課題へ向けてのチャレンジが必要となった。 さらに、エンジンの高性能化に伴い、エンジン設計が複雑になり、プラグの脱着が困難になったことを背景として、プラグのメンテナンスフリー・長寿命化も求められるようになった。

技術開発

こうした課題に向けて、開発スタッフは耐食性および耐火花消耗性に優れ、中心電極の細径化が可能になる貴金属の白金に着目し、 コストアップにならないよう電極放電部にのみ薄い白金チップを溶接するという方法を創出した。
しかし、これで技術的な問題が解決したわけではなかった。白金と電極母材の膨張係数の違いから白金チップが剥離してしまう問題が発生した。 そこで、白金チップの材質、抵抗溶接の通電条件を厳しく管理するとともに、溶接後の白金厚さ変化、接合界面の合金層厚さをミクロン単位で管理することによって、 ようやく実用化に成功した。そして、特許としても成立させることができた。こうして、放電部分にのみ白金チップを採用した白金プラグが、1982年8月に発売された。

発売後の展開

この白金プラグは、10万kmの耐久性を有しており、当初、トヨタ自動車の対米向け車両を中心に搭載されていたが、後に走行距離の多いタクシーや、 エンジン搭載位置の都合上、プラグ交換が困難なワンボックスカー、メンテナンスフリーが要求される高級車両などに次々と採用されていった。

技術開発

1983年に、高性能プラグを指向するユーザーに向けて、ZUプラグを開発した。この新開発のZUプラグは当初、米国でのロードレース、モトクロス、 ダートレースといったレースユーザーなどに試験的に使用されてきたが、一般プラグのハイグレードタイプとして本格的に発売された。
このZUプラグは、当時世界最小径の中心電極（0.7mm径）を実現させ、その中心電極に白金を採用した。さらに、接地電極の先端テーパーカットによって、 飛火性能や着火性能を向上させることに成功した。細径0.7mm径の中心電極を使用することにより低電圧での飛火が可能となり、良好な始動性と効率の良い燃焼が得られるようになった。

突き出しプラグ

六角小型プラグ

白金プラグ

ZUプラグ

「ZUプラグ」チラシ

2極白金プラグ

HISTORY
1996 – 2018

技術開発

1997年になって、当社は白金プラグに代わる貴金属をベースとする新しいプラグを開発した。それは、中心電極にイリジウム合金を使用することにより、極細の電極でかつ寿命延長を可能としたイリジウムプラグである。
イリジウムプラグは、それまでの白金プラグに比べて耐消耗性を飛躍的に向上させたもので、一層の電極の細径化が可能となり、従来にも増して着火性・放電特性の向上が図られることになった。
寿命重視のイリジウムプラグは、20万kmという驚異的な耐久性を可能にしたばかりでなく、燃焼を極めて安定化させることにも成功した。
1998年にはその開発技術をベースに、0.4mm径のイリジウム合金を採用した新世代高性能プラグを製品化した。
[ IRIDIUM POWER ]と名付けられたこのプラグは、当社独自のU溝とテーパーカットを組み合わせた接地電極と世界最小径の超極細0.4mmの中心電極により、 飛火電圧を低くすることと着火性能を向上させることに成功し、全運転領域で確実な燃焼が得られるようにした。

イリジウムプラグ

IRIDIUM POWER

「IRIDIUM POWER」パンフレット

「IRIDIUM POWER」POP

両針イリジウムプラグ

TTプラグ